孤独担当相の暗躍(2019)

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『一人になることを恐れる人が多いが、「おひとりさま」がますます増えれば、世の変化
に合わせ、新しい政策や社会的ニーズに合う民間の新サービスが期待できる。』
例:「孤独先進国―イギリスの福祉政策」(『潮』2019年1月号p.112~117)
・2018年に世界初の「孤独担当相」を設置
・「孤独」が英国経済に与える影響額の試算 年間約4.7兆円の損失
・英国の人口約6500万人中、900万人以上が孤独を感じている→2018年1月世界で初めて
「孤独担当相」を新設
孤独担当相が設けられた経緯
イギリスでは近年、高齢化社会や社会不適合など「孤独を感じている人」が急増し社会問題化している。
イギリスの孤独問題には、英国労働党の故ジョー・コックス下院議員が熱心に取り組んでいた(2016年にネオナチ団体とつながりのある男に殺害された)。コックス議員は選挙活動で家庭訪問する度、
多くの人が一人ぼっちの寂しさを抱えていることを痛感。それをきっかけに孤独問題に向かい合うようになった。彼女の死後、「ジョー・コックス孤独対策委員会」が創設され、2017年末には彼女の遺志を継いだ超党派議員らが解決に向けての国家戦略や担当相の設置案などをとりまとめ、提言を政府に提出。これを受けて政府は、孤独をなくす政策を練り、民間の協力を得ながら超党派で対策を進めた。メイ首相は、社会的孤独者問題を担当する国務大臣を設置することを決断。文化省でスポーツなどを担当するトレーシー・クラウチ政務次官が孤独担当相を兼務することになった。
・慈善団体「AgeUK(エイジ・ユーケー)」の「ビフレンディング・サービス」:高齢者
の友達づくり。ボランティアが電話をかけてくれる「テレフォン・ビフレンディング
」、ボランティアがシニアの家を訪問しお茶を飲んだり、カフェや病院に一緒にいっ
たりする「フェイス・トゥ・フェイス」のサービスなど。
・一般企業でも認知症の人や自閉症の人向けの映画上映会、高齢者向けの昼間のナイト
クラブ等。
→英国では孤独に悩む人を救済する仕組みが草の根レベルで定着している。日本でも今後
いろいろ出てくるのではないか?ex.シニアのシェアハウス?一般化?
・日本でもイギリスを見習って「孤独担当相」を設置するべきではないか?
・どのように「絆」をつくっていくか。「絆」というものの研究や「絆」についての包括
的かつ永続的な社会システムを考えていくことが大切。
 『東洋経済』の特集を見ると、本来なら人とつながれるし、助けてもらえるような場面
でも自分からつながらずセルフネグレクト(自己放棄)になっているケースもある。
・「人との絆」について以下は議論の参考になるかどうか?(日々の中で個人的に考えて
いること)
・行きつけの店:イギリスのパブ文化を日本にも定着させたい?(作家の井形慶子さん
の本からヒント)
・地域コミュニティーの一例:創価学会のネットワーク(誰かの手術前に皆で祈る、友
人葬、地震の際も地域のメンバーをすべて熟知しているため崩れた家屋の中にいたお
ばあさんをすぐ救助できた等日常的なつながりの深さ「創価家族」)
・Lineグループでの帰属感:リアルで知っている小学校の同級生たちと毎日lineでグルー
プチャット。忙しくてあまり会えなくてもネット上の家族のようで寂しくない。
・日本人は日常的に会える友達が少ない人が多い印象(交流するのは家族だけ)。私の
場合、結婚式に出席したら最後、その友達(日本人)に会えなくなることが多い。一
方で、中国人の女性は結婚後もよく出歩く印象。
・中国人は生活上手(ホームパーティ、公園でダンスや太極拳、将棋、水筆書道など)
・中国人の「一家人」「自己人」の考え:親しい友人、仲間も家族と同様の扱い。
・北京留学中に「友達の友達の友達」に助けてもらい、別の「友達の友達の友達」を助
けた経験
→日本は「人とのつながり」について中国から学ぶことも多い
・血縁のない人(英語学校のクラスメート)と養子縁組して老後を世話してもらった老
婦人の話
・自分の子どもがいなくても、志を継いでくれる若い人との絆が生まれれば幸福という
考え方(ニュースを見ていると、親子であっても本当に理解しあえるとは限らない)
・そもそも「人間」に絆を求めていない人も…ペットやぬいぐるみと家族形成。絆や幸
福の形も多種多様
・『縁の切り方 絆と孤独を考える』(中川淳一郎/小学館新書)
 「社会人は家族と仕事関係者以外に重要な人間はいない」と断言。ネットでもリアルで
も「つながること」は本当に幸せなのか、本当に重要な人間関係とは何か。SNSを中
心にはびこる「絆至上主義」に一石を投じている本。(参考のため紹介)
『東洋経済』の特集は「孤独」のマイナス面ばかり論じているが、そもそも「孤独」は悪
いことなのか?孤独を肯定する考え方を以下に紹介。
五木寛之「ひとりで死ぬこと」の幸福論(『文芸春秋』2018年12月号)
・著書『下山の思想』「下山にもまた、登山の本当の意味がある」
登るときには目に入らなかった風景が見えてくる。人生でも同じ。人生の後半を一人で
下山していくことは人生の次なるクライマックス。人生の後半を「孤独に生きる」こと
は特別に貴重。
・かつて日本人は深く孤独を愛する民族。平安~鎌倉の貴族階級では「隠遁」が流行。西
行法師、鴨長明等。近代国家の登場、資本主義社会と工業化の発展により、「地縁・血
縁・職縁の中で支えあって生きるのが人間」という考えが広がり、「孤独」はネガティ
ブな意味になった。
・五木寛之氏の考える孤独とはオルテガの「トゥゲザー・アンド・アローン」。積極的に
周囲の人と付き合いながら、孤独でいること(人間関係と孤独は両立可能)。例:コー
ラス、親鸞の言葉  五木氏:「他人と触れ合う中で、自分が唯一人の個性なのだと感
じる。ここに真の孤独が生れる。」
・養生とは「孤独の中で身体と対話をすること」
・本ではなく授業から学ぼう。本当に大事なことは活字ではなく、声を通じて伝わる。教
室にいる人は「群衆」、その一人一人は孤独。
・積極的に昔話をしたほうがいい。人生の後半生は自分の過去とじっくり向き合う「回想
を語る」ことが大事。過去を振り返る=個人の歴史を検証すること=その国の歴史を検
証すること。非常に豊かな行為。
・自分の身体で経験している歴史は、整理されて活字にされた歴史とは何かが違う。本で
はなく、自分自身の感覚だけを頼りに、自分の一生とその時代を振り返り検証する意味
がある。モノが回想の糸口になるから、どんなガラクタでも取っておくことに大きな意
味がある。
・友人が死んでも寂しいとは思わない。彼らが自分の回想の中で色濃く生きているから。
回想に遊び、回想に生きる大きなメリット。
・結局、人間は誰もが孤独。「孤独死」を忌避しようがしまいが、誰もが数々の思い出を
たどり、豊かな記憶に包まれながら、一人で静かに死んでいく。これが充実した人生の
終わり方。
孤独と幸福の関係(私見)
・新聞記者時代に池坊保子衆議院議員を取材
「華道では葉の裏表を両方大切にする。日中関係の歴史も表(プラス面)も裏(マイナ
ス面)も大切」→思ったこと:人生も光(プラス)と影(マイナス)の両面があるか
らより深い人生となる。孤独や悲しみを知ってこそ、日々の幸福もより深まる。また
、孤独があってこそ、自身の内面を見つめ自身と対話し、自分を知る。そうすると、
自分の求めるものがはっきりし、人や物事との真の出会いが開かれる。→積極的孤独
の重要性(ex.芸術家)
自分にとっての幸福とは?
アランは『幸福論』で、「つまらない芝居は退屈であるが、自分が出演すると退屈しな
い。幸福になりたい人は舞台に上がらなければならない」旨述べ、「自分の人生の主役
になって努力する大切さ」を説く→幸福のためには主体的に生きることが大切であると
理解
・中国の文学者・林語堂の言葉:「幸せの秘訣は、自分が思う存分、力を発揮できる仕事
をみつけることである。」
・仏法で示す幸福観:「相対的幸福」「絶対的幸福」
相対的幸福:財産が欲しい、名声が欲しい、地位が欲しい等…際限がなく、一時的な
幸福。他人と比べたり時間が経ったりすると幸福感が薄れる。
絶対的幸福:永遠に続くもので、外の条件に影響されることがなく、生命の内からこ
みあげてくる幸福感。どのような苦悩や逆境に見舞われても、力強い生命力と豊かな
知恵で乗り越え、「生きていること自体が楽しい」という境涯を現実の人生において
築いていくことが絶対的幸福。そして、「心の財」は「身の財」「蔵の財」となって
現実の人生においても物心ともの幸福を築いていける、と説く。
・日常の中に思う幸福
・日々の人との出会いは奇跡でかけがえのないもの。地球上にこれほど多くの人がいる中
、いくつもの偶然が積み重なってやっと邂逅できる。自分の周りの方がその人らしく、
ただ元気で幸せに生きていてくれる、それ自体が自分の幸せに感ずる。
・人生の中でいかにたくさんの思い出をつくるかが幸福に大きく関わる。人との深い絆、
貴重な経験、人生をかけた仕事など。思い出の中では、いつでも会いたい人に会え、行
きたいところに行き、やりたいことができ、いつでも幸福な時に戻れる。心の中にある
もの、思い出はたとえすべてを失ったとしても人生の最後まで残る。だから一番大切に
している。
最後に…
・ジャン=ジャック・ルソーの思想
 人は、常に幸福を求めるが、常に幸福に気づかない。
 人生の最初の四分の一はその使い道もわからないうちに過ぎ去り、
 最後の四分の一はまたその楽しさを味わえなくなってから過ぎていく。
 しかもその間の期間の四分の三は、睡眠、労働、苦痛、束縛、あらゆる種類の苦しみに
よって費やされる。
人生は短い。
→日々の幸福に気づくことの大切さ…
「孤独」と「幸福」は「絆」と「心」によって左右される

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